お姫様になるためのメイクの話

シンデレラがしあわせになれたのは日々の頑張りが報われたのではなく、誰もが見惚れる姿で舞踏会に現れたから。ロバの皮を被ったお姫様だってお家でこっそり月光のドレスを着ていたからたまたま見ていた王子様がときめいて恋が始まったのでした。あんなにおいしいケーキだって、綺麗にデコレーションされてリボンをかけられてようやくはじめて手に取られます。案外、見た目が9割というのは真実なのかもしれません。


さあお姫様になれるメイクのはじまりはじまり。

 

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<事前情報>

ブルベ冬ビビッドで、おそらくアクティブキュートorフレッシュです。ブルベ冬っていわゆる絵の具の原色チューブとかクリスマスのイルミネーションのような色が似合うタイプで、特に私はパキッとしたのが馴染みます。赤とか黒とか大の得意です。
こういうと化粧も濃いほうが似合いそうなんですが、立ちはだかるのがフレッシュorアクティブキュートの壁。上記のタイプって爽やかで小動物っぽくナチュラルメイクがよく似合うんですよね。愛嬌のある顔で曲線が多く幼いので、濃い化粧だと小さい子供がお母さんのメイクを勝手に借りて遊んだみたいになってしまう。完全に似合わない。


ここらへんの矛盾を解決して、とりあえず最近メイクが落ち着きました。目指すは白雪姫系です。

 

 

<事前に色味のイメージを作っておく>

服に合わせて、事前に色味とか濃さをなんとなく決めておきます。例えば白い可憐な洋服にバチバチのくっきりしたメイクって、浮く。それならば色合いも優しいのにしたほうがいいですよね。そういうことで服の与える印象から、アイシャドウ/リップ/香水を毎回変えています。本当は爪も変えるべきと思ってるんですが、爪はジェルネイルなのでしかたない…。
 色味は青みがかったものが多いですが、ブルベサマーはまだ使えると思ってるのでそこらへんのアイテムも多いです。洋服もパステルカラーが一番多いかも…(あまり強い色が好きではないので) snidelとかジルってブルベ夏大勝利ブランドなんですよね。見た目的に強そうな人間ではないので、そこらへんで調和が取れてると勝手に思ってます。
大事なのは浮かないこと。全体のバランス。メイクが服と合っているか。自分らしく可愛くなれてるかです。


<下準備>

とにかく血行をよくしたいので、朝だろうがなんだろうがやる気があるときは先にお風呂に入って念入りにマッサージをします。そのほうが気分がいい。体をほかほかにしてツルツルにした後の方が化粧のノリもちがいます。


[最近のお気に入り入浴剤とスキンケア]
入浴剤:マックス お塩のお風呂 汗かきエステ気分ゲルマホットチリ
ボディケア:スージングアロエジェル/LaLine ボディスフレ フローズンピュア
スキンケア:オードメディカ/メラノcc集中対策マスク


飽きが来るのでこのほかに適当にパックとか入浴剤とか違うのを入れて生きてます。ビタミンは入れた方が白くなる気がする。あとアロエジェルはたっぷり使えるのでおすすめです。スキンケアは惜しみなく使うのがコツだと思っているのでうれしい。


<メイク>

全体的に少しずつ色を載せていく、ニュアンスやグラデを作っていく感じでやるとうまくいく気がします。時間を惜しまず丁寧にお化粧するのがだいじ。


[おはだ]
日焼け止めALLIE
→RMKカラーファンデーション05を全体に塗る
→大まかに艶を出したい部分(範囲広めのハイライトのつもりで)をキャンディドール ブライトピュアクリームをわずかに頬、顎下、おでこあたりに仕込む。ブラシで薄く少しずつ伸ばしてあげるといい感じ
→RMKスーパーベーシックコンシーラーパクトで気になる部分をけしていく(眉下、小鼻とか赤みの目立つところとか)
→THREEグローフリーダムパレットライジングX01のハイライトをT部分、頬、顎下、唇上に効果的に少量仕込む ここでチークもじゅわっと頬にさす
イニスフリーノーセバムミネラルパウダーを全体にはたく


こんだけ過程を使ってるのに、ファンデというファンデをほぼ使ってないので(RMKのカラーファンデーションはファンデとは名ばかりでほぼ色味調整だけの下地レベルです)ヨレとかそこらへんとはほぼ無です。もちろんマスクにもつかない。
一時期はガチガチに武装してたのですが、そこまで肌が荒れてないならこれで十分隠せると思います。健康的な艶感があるので、肌も結構綺麗に見えます。


シェーディングは全体のバランスを見て最後にすることが多いのですが、キャンメイクのシェーディングパウダー04をつかってます。付属のブラシだと大きいから鼻とか鼻下とか唇下とか細かいとこに使うときは自分の細いブラシでささっとしている。


[目元]
最初に100均の万能ななにかで目の縁を薄く茶色に引いておく
→フーカルーアの15色アイシャドウパレッド トルコの淡いピンクを塗る
→服に合わせて一段階暗めの何かを薄く目尻から黒目真ん中にかけてぬる
→アイホームの真ん中に細かいラメを載せる
涙袋の真ん中にちょんちょんとロムアンドのリキッドグリッター02をのせるようにつける
→uzuのアイライナーで目尻に細くアイラインをいれる
→THREEアートエクスプレッショニストマスカラで丁寧にまつ毛を長くしていく
→コームでダマがないようにまつ毛を梳かす


目元って楽しくてすぐ派手になっちゃうのでいわゆる地雷系のメイクにならないように気をつけてます(地雷女子のメイクってすごく楽しいんですが、それをするには年齢を重ねているので…)
少しづつ色を重ねていって、なんとなくすっぴんも可愛いんだろうなと思われるようなメイクが最近の方向性です。まぶたはキラキラにするとすごく楽しい。瞳に星を散らばらせる快感はなにごとにもかえがたいわ。


[唇]
THREEグローフリーダムパレットライジングX01のリップ部分を指にとり、色づく程度にぽんぽんと載せる
→ここから中心だけ濃い色味のリップを使って色づかせる。その日というか服によって帰るんですがボビーブラウンの廃盤のリップがすごく好きで(人を食ったような真っ赤な深い血みたいな色)今の唇の先だけ赤く染めたい時に使ってます。あとはラデュレとかゲランとかアナスイとかそこらへんのを臨機応変に。グラデになって顔が締まるようなかわいい色味であれば、服と合わせればそれで良い。


最後にその日の気分に合わせて、香水を振りかけます。最近はマリアサンタノヴェッラの香水が多いですが、SHIROのマリーゴールドが気になってます。


これでお姫様の完成です。
あー、楽しかった!

そうして彼女は白雪姫になろうと決心したのでした

ブルベビビッド冬アクティブキュートorフレッシュウェーブの理想は白雪姫にあることに気づいてしまった。透けてしまうほどに白い肌、真っ黒で美しい髪、ぽてんと浮かぶ愛らしい紅の唇。どう考えてもこれこそが求めるものです。お姫様、万歳!


とりあえず忘れないために、現時点でやってる美容を残していきます。いいもの、よくないこと、しっかりと取捨選択していきたい。そのために書き残す。


<スキンケア>
最近流行りのアロエジェルがかなりいい。
アロエジェルのあとにLalineのボディスフレ(ホイップクリームのような食感・Frozen Pearの清廉な甘さが好き)を体に塗りたくると、ふわふわになる。少なくともこれを習慣づけてから特に足がとろけるように柔らかい。
顔は最近は夏なのでビタミン入りのを使っている。見た目は全く可愛くないけれどメラノCC薬用シミ対策美白化粧水が効く気がする。あと昔からだけど毛穴撫子シリーズは信頼できる。


<メイク>
ブルベビビッド冬って完全に濃い色味が似合うので、テンポですると地雷メイク寄りになってしまう。地雷系メイクとかファッションって結構好きなんですが、そろそろいい年なので妥協点を…なにごとも気を抜くところは抜く(肩肘を張らない)のって大事だと思うんだけど、四季の中で最もブルベ冬がナチュラルが難しい気がします。
あと眉と目の位置を近づけてあげる、涙袋の大切さ、シェーディングは骨格が浮き出るようにしてあげるあたりをようやく学びはじめた。艶感をだしてあげることもだいじ。
最近よかったアイテムはロムアンドのキラキラ(涙袋作るのに大活躍)、また一軍入りしたキャンメのブルベシェーディングあたりです。あと髪色とか服も含めて全体的に色に統一感出すのだいじだよね。


<服>
ずっと悩んでいて、でもやっぱり自分人生の中で毎回死ぬほど可愛いのって915のワンピースの時だと思う。誰かさんの誕生日だからとかではなく、シンプルにあそこらへんの服が最適解な気がします。上品だけど可愛らしくて、すこしレトロな感じ。あと雰囲気的に宮崎あおいが来たら絶対可愛い感じの服を着とけば、なんとかなるだろうという気持ちはある。宮崎あおいのフレッシュな雰囲気を私は信じる。私は宮崎あおいになりたいです。
ブランドは具体的にはIENAとかあたり…がそれはそれとしてsnidel系を着回す楽しさは手放せそうにない。本当はパーソナルカラーに合わせた方がいいんだろうけど、原色で可愛らしさを作るのって相当センスないと難しい気がしてパステルカラーににげてしまっています。土曜に浴びるように買うつもりなのでなんとかしたい。自分の中で方向性をいい加減見定めたい。


<その他>
血行をよくすることに命をかけている。温かいものをたくさん飲み、たべ、時々おひさまもちょろっと浴びて、自分をヨシヨシしてあげます。血行がいいと体も凝らないしストレスもない。そしてよく寝る。これが大事だと痛感。余裕を持っていないと、こんなに多くの手間暇を楽しいと思って色々できない。多分こういうイメチェン系ってめんどくさがったら生半可で終わるので、だからこそ自分を可愛くするために自分を可愛がってあげたい。ひとつひとつ生活の風穴をよくしたい。


みなさんの美容アドバイスもお待ちしてます。

絶対かわいい宣言

たまたま自分の昔の写真を見返したり、優しいフォロワーさんから「お姫様になってね」とさっき言われたこともあり、かわいいとは…と久しぶりに考えていました。たぶん自分を救ったり肯定できる手段の一つとして、私にとってここ数年「かわいい」があるのだと思います。

 

かわいい女の子になりたかった。

けど私という人間そのものは別にたいしてかわいくもないし、学生時代は化粧に関してはやたら厳しかったりしたのもあり、そうすると自分がなんとなく「かわいい」になるのがいけないような気がして、かわいいものを見ても自分なんかがな~と勝手に思ってしまう日々が続いてしまったのでした。嶽本野ばらさんの文章やテーマのセレクトが十年以上大好きな時点で、すでにお姫様にもかわいい女の子にもなりたかった自覚はあるんですが。

 

そもそも日常垢を作った理由も「かわいくなりたい」「お姫様になりたい」をかなえたいツールの一環だったわけで。

その前からイメチェン自体はずっとしており、かなりの数のリアル身内が応援してくれたのですが、親身になってくれる方って最上級に努力してるからかわいいや素敵が最高なわけで…そうすると「こんな人間にこんなキレイな方が…」みたいな後ろ向きの感情になってしまってたので、みなさんの優しいお言葉にはずいぶん救われたなと思いました。あと結構美容系って最近は診断含めて理詰めが多いので、毎日情報収集して「みんなもがんばってるんだなー」とか「こうするといいかも!」などと思うのも楽しいんですよね。自分のイメージを整理しながら具体的な案に変えていくという行為がすっきりします。

 

まあ人間100完璧なんてないので、今もやりたいことはたくさんあるし、人生は相変わらずうまくいかないほうが多いですが、昔よりかは自分が好きになれたのがよかったので「かわいく」なるのが方法論として最適だったよなと思いつつ。最近は爪もいじるようになったりしたので、さらに素敵になれてうれしい。褒められることも前より増えてうれしいし…。ただ「かわいくあらねば」という呪縛が働いてる人はきついよなあと思ったり。私はごてごてに武装したほうがストレスフリーなので、今の状態のほうが楽です。

 

そういえばシンデレラも舞踏会に行くために素敵なドレスやメイクをして馬車に乗ったし、なにより彼女は努力家なのでした。

そして私はマルキドサドだったら悪徳の栄えより美徳の不幸、児童文学だったら小公女セーラのいじらしさの中にある少しだけの不遜さが好きな人間です。

 

はやくいじらしいと見せかけてちょっと自分ひいきで素直でぴょこぴょこと跳ねるかわいいお姫様になりたい。

努力あるのみですね。

 

 

息を吸ったら吐くから好き

ここ数日は渚のように穏やかな心で過ごしており、私も自身の落ち着きように安堵しながらようやく力君を冷静に応援できる…と思っていた。ツイッターを見ている人はどこが? と思うでしょうが、少なくとも私的にはここ数日の私は近年まれに見るまともさだった。なにをしてたのか? というとここ数日は「美醜の大地~復讐のために顔を捨てた女~」と「ゴミ屋敷とトイプードルと私」読んでた。自分の漫画の趣味がキワモノすぎてしみじみと終わりを感じる。

 

でも今日、力君のラジオを聞いてなんらかの新規情報に狂うみたいなやけにリアルな夢を見て、おきたらまたいつもの自分に戻ってた。むしろ悪化してた。

 

そもそも狂いたくて狂ったわけではなく、いい年こいてオタク活動に狂いたくないという思いがずっとあるので(これが猫かぶりの闇です)普通にオタクなんだけど推せれば推せるほど自家撞着に苦しむみたいなガチで意味のない悩みを半年に一回くらい引き起こす。感情が溢れすぎて某アイドルを推している友達に「これ以上好きになりたくない」みたいなわけのわからない泣きつき方をしたら、「これが”””リアル”””だよ」と言われてしまった。そうか…これが…リアル……。トイレ事情しか知らないけど…。友達の推しは最近ぬか床をしこむのがマイブームらしくて、うちの推しもね…といおうとしたけどトイレしか脳裏をよぎらなかったし力君はぬか床をしこむことはおそらく一生ない。なんでだろう。なんでこんなに私は狂うのだろう。最近生放送とかツイートが多かったから時間差でキャパを超えてしまったのかもしれない。

 

仕事中よく夢想しがちで今日の中の議題は「なんでこんなに推しなのか」だった。

声がいいとか努力家とかエンタメに長けているとかいいところはたくさんあるけれど、自分の中では「息を吸ったら吐くから好き」に落ち着いたところで、通知がきた。スケボー。コート。コート…。コート…。コート。もうやだ。週初めだよまだ。はあ コートか~~~~~~~~~!!!!!!!!!!はあ。死にたい。これが亜寒帯の波動か。これ以上は悔しいから狂いたくない。

 

また今週も囚われるんですか?

はあ、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。

なんでこんなに狂ってしまうのだろう

久しぶりに前ジャンルの拍手ボタンを見たらわりと結構な勢いで回ってた上、「この人私のことめちゃめちゃ好きだよな…」と当時思ってた読者の人たちが今でも見ていることが発覚してとても嬉しくなると同時に、申し訳なくなった。10万アクセスも余裕で超えてたことに今気づいた。くずだ。

「お元気でしょうか」「貴方様の描く世界観が鮮やかで美しくて好きです」「季節が変わりました。お体に気を付けてください」「今どこにいるんでしょうか」丁寧に書かれたその一つ一つに返信をすることは一切ない(というか返信するツールがない)心の中で元気です、とだけ返す。元気です。私は今見知らぬおっさんに狂っている世界線にいます。と言って信じる人はこの中の何パーセントだろう。

 

いつから狂ったのか。もはや覚えがない。

本アカの作成は1年半前だが、実はその前にアーカイブ消化期間があるため会員になったのはおそらく2年前だ。当時は力君のキャラクターがあまりにもツボで、おびえていたことだけ覚えている。当時宝塚にハマっていたリア友の家で「力君は足が長いらしい」という完全に言う相手を間違えている自慢もした覚えがある。たぶん宝塚の人たちのほうが足は長い。

 

2年もたったらそろそろ冷静になってもいいはずなのに、相変わらず毎日狂っている自分が怖い。今日も昨日もおとといも狂ってたし、夕方とか5時間くらい職場で作業しながらずっとNeedless to say(and sorry…)のことを考えていた。

 

最近は気が狂った友達(俳優を推して早1年)と「なぜこんなにおかしくなってしまうのだろう」「情熱が0か10000しかない」「はやく楽になりたい」などと歯止めが利かない暴走ロボットみたいな泣き言ばかりいっている。親からつつかれる結婚とかどうでもいい。私は生放送で4度くらい恋のチャンスを失っている女だ。力君、指差して笑っていいよ。

 

どれだけ言葉を尽くされても、正論を語られても、そんな高尚なことは、それがどれだけくだらないとわかっていても、木曜放送の「ほらピアノ 習ってたんだろ ピアノ弾け」一つにすら敵わない。それがこの世界です。

 

どうやったら穏やかに推せるんだろう。

助けてください。助けてください。

英語…木曜…英語…土曜…ハァ。

 

今日もまた気が狂った1日だった。

多分明日もまた気の狂った1日だと思う。

 

ゼルダ・フィッツジェラルドのように

岡崎京子の『Pink』にでてくるようなユミちゃんになりた~い!などと思って数年が経ちました。岡崎京子という漫画家が好きです。細い糸の上を綱渡りしているようなあの危うさがたまりません。数年前映画化して話題になった『ヘルタースケルター』の作者というと少しはわかりやすいでしょうか。

 

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『Pink』のユミちゃんは22歳のOLで、夜のバイトもしている女の子です。ワニを飼っていて、口から出まかせをよく言っていて、喜怒哀楽の激しい性格をしています。将来についてはあまりよく考えていません。仕事のこと、これからのことでいやなことがある時は大抵物を買うことで発散します。

 

物語は継母と肉体関係を持っているハルオ君との恋愛が軸なのですが、おそらく主題はそこではありません。あとがきで作者本人が「これは東京というたいくつな街で生まれ育ち「普通に」こわれてしまった女のこ(ゼルダフィッツジェラルドのように?)の”愛”と”資本主義”をめぐる冒険と日常のお話です」と言っているように、モノ社会で普通に生きることの難しさがテーマです。

 

この漫画の物欲にまみれた乙女的発言のとにかくおおいこと!

 

「お金でこんなキレイなもんが買えるんならあたしはいくらでも働くんだ」

 

「このクッキーにピーナツ・バターぬって バナナのうすぎるのせて食べると最高においしいんだ・よーん ワニも好きなんだよ ね 私たちはこれがあれば幸せなのよ ね」

 

「東京って何でも売ってるけど何でも高いねー」

 

「あたしTVみたく暮らしたいしananのグラビアみたく暮らしたいな」

 

「それよか見て! 靴でしょー バッグでしょー おようふくでしょー あと化粧品!」

 

「欲しいもんは欲しくなっちゃうもん 欲しくて欲しくていてもたってもいられなくなっちゃうもん」

 

日常は代り映えしないまま続くからこそ、ユミちゃんは冒険をします。自腹でタクシーを使って継母の恋愛沙汰を突きとめるし、15分の休みをぬってドトールでお茶をします。いやなことがあったときは、誕生日プレゼントにもらったワニに食い殺してもらう妄想をします。ワニは彼女にとってスリルとサスペンスそのものです。

 

生き延びるために物を買うこと。物によって目先の楽しいを作り続けること。

 

これってなんだか太宰治の『葉』の

「死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った」

という文章を思い出しませんか?

 

でもこれって刹那的な生き延びかたでしかなくって、あくまで一時しのぎでしかない。一見お気楽で無敵にみえるユミちゃんも時々『発作』を起こして、渋谷で不安に襲われて立ち尽くしちゃうんですよね。やがて働き者のシンデレラは労働を捨て、モノを捨て『王子様』との逃避行を選びますが、その最上の幸せがやってくることは決してありません。王子様のキスは永遠にやってきません。

 

物に頼るのとか、だれかにすがるのって多分一番お気軽な方法で、でもそれは決して永遠ではないんだよなーとか思いつつ。だめだよなーと思いつつ。

 

でもこの欲に溺れる瞬間ってめちゃめちゃ気持ちいいし、なによりこういうギリギリの気持ちで生きてる女の子ってとってもかわいいんですよね。散る寸前の薔薇のようにかわいいなと思ってしまう。なにかを考えながら、一方で思考を全部放棄してる(破棄しようとしている)女の子ってめちゃくちゃかわいいという話でした。

 

 

 

 

 

 

 

野蛮なお姫様でありたい話

 

 

ヴィラ・ヒティロヴァ監督の「ひなぎく」を見返そうと思ってDVDをとりだしたら、中身がウイルスバスターのソフトになっていた。元のところにきちんと返さない自分が悪いのだけれども、見る気満々だったので落ち込む。

 

ひなぎくチェコ映画なんだけれど、人生で最も好きな映画だと思う。私がまだ少女だった時代、名画座で見たのがきっかけだ。「少女の自由気ままないたずら」をテーマにしたこの作品は、一方で自由であることの難しさを描いてもいて、わけもわからないまま最後のエンディングにぼろ泣きした覚えがある。その政治的背景や難解な表現は当時女子高生だった私にとっては重要ではなく、とにかく言語化が難しくてずっと悩んでた部分、誰にも言えない心のいちばん柔らかな部分をぴたりと言い当てられた気がしたのだ。それがとほうもなく、感情を溢れさせた。

 

名画座を出た後の中央線の商店街はにぎやかかつ穏やかで、現実のほうが映画のセットのように見えた。庶民じみた道を歩きながら「この物語はいつになったら終わるのだろう」と思った一瞬が、今も胸にこびりついている。当時の私は自意識の塊で、澁澤龍彦をミーハーに愛読し、矢川澄子森茉莉二階堂奥歯あたりに今以上に憧れていて、自分こそが特別なのだと信じて疑わなかった。

 

結局のところ、私は凡人どころか凡人以下だったわけだけれど、あの時の身の程知らずな無敵さはちょっと見習いたいなと思っている。脆さを痛感しているからこそ、せめて知識とかコスメとか洋服とかで武装していきたい。現実に立ち向かってく野蛮なお姫様でありたい。とにかくアグレッシブな感じ。転んだあとのこととかは今はあんまり考えたくない。

 

今日読んでた古い雑誌(30年とか40年くらい前のBRUTUS)に山口小夜子のインタビューが載っていて、黒いレースに身を包む彼女が「着飾れば着飾るほど憧れに近づく気がした」みたいなことを言っていた。わかる気がして、うんうんと頷いた。

 

相変わらず乙女でいたいし、お姫様にもなりたいし、博識にもなりたいし、気品さも身に着けたい。結局のところ、図書室で童話を読みふけってたあのころとあんまり変わらないのかもしれない。

 

人生いやになることがここ最近多く、特にコロナで気分もふさぎがちだけれど、その分美しいこと楽しいことを少しでも拾うようにしてなんとか過ごしていきたいと思う。そのためにも自分をかわいがって、人と助け合って生きていきたいですね。